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スタッフ日記

「最後の梅摘みかもしれない」から始まった、
90代の思いとものがたり

2026.07.24 公開

こんにちは!ものがたりデイサービスです。
ものがたりデイサービスでは、特に決まったレクリエーションや行事はありません。
その時、時間があれば午後から遊びに出かけたり、ゆっくり過ごしたり……。
その方らしいリズムで日々を過ごしていただいています。

その中で、最近とても印象に残った、90代のHさんの『ものがたり』をご紹介します。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

毎年、砺波市太田にお住まいの方が、ご自宅で実った梅を分けてくださいます。
今年も6月中旬、その木へ梅を摘みに数名で出かけました。

とても綺麗な梅が実っており、参加された方々は「楽しかった!」と笑顔で帰ってこられ、「この梅でシロップ漬けを作るの!」と大きな袋を抱えてご自宅へと戻られました。

しかし、その次の日。
梅摘みに行かれた90うん歳のHさんが、デイサービスに尋ねてこられました。

「昨日もらった梅を、息子に全部あげてしまったんやわ……。
まだ梅、あるけ? また摘みに行くことはできる……? 私の分も欲しいんやちゃ……」
デイサービスの冷凍梅ならあるとお伝えするも、「生がいい」とのこと。
大事な息子さんにおすそ分けしたかった気持ちもよく分かります。
わざわざ直接デイサービスに言いにこられたということは、それほど欲しかったのでしょう。

もう梅は終わりかけです。
果たして前回と同じだけ残っているのだろうか……。
そこで改めて時間を設け、Hさんと私で再び梅摘みに出かけることにしました。

行く車の中で、Hさんはご自身の想いをそっと話してくださいました。

「私はもう、来年は梅摘みに来られるか分からん。90うん歳になってしまったし、いつ歩けなくなるかも、死んどるかもしれん。だから、前回も息子にあげてしまって職員さんにも迷惑をかけたけど、どうしても自分で取りに行きたかったんや。この間の梅摘みも懐かしくって、とても楽しかったわぁ! 梅シロップも久々に漬けるが。」

とても笑顔で、楽しそうに話してくださいます。
その梅摘みのお話をきっかけに、Hさんはご自身の『ものがたり』をいろいろと聞かせてくださいました。

生まれ育った村のこと。
小さい頃のこと。
結婚した時のこと。
きょうだいのこと……。

ほんの10分の車中でしたが、たくさん、たくさん教えてくださいました。
そしてそのお話を聞きながら、私は今、この方の大事な『ものがたり』『いのち』の一部に携わらせていただいているのだと、深く実感しました。

現地に着くと、梅はやはり大分少なくなっており、一生懸命探さないと見つからないほどでした。
しかし、Hさんは目を輝かせ、腰の痛いのも忘れて足場の悪い木の方へと一目散に駆け寄り、次々と拾ったり摘んだりしていきます。

「あ、あんな上にある! あれ取れる?」と言われた私は、棒を持ってジャンプして実を落としたり、枝の隙間の小さい梅を何とか取ったり。
前回ほど綺麗で大きな実ではないけれど、持参した袋に半分ほど溜まるだけの梅が集まりました。
Hさんは大変満足そうで、「ありがとう」と何度も伝えてくださいました。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

『最後の梅摘みになるかもしれない』

今回、その時間に携わらせていただいたおかげで、私たちが何気なくしているお手伝いやイベントは、もしかしたらその方にとって「最後」の出来事かもしれないのだと改めて考えさせられ、身の引き締まる思いがしました。

人の寿命なんて誰にも分かりません。
ですが、80代や90代の方々は特に、「これが最後かもしれない」という思いを抱えながら生きている方も多いのではないでしょうか。
「動けるうちに」「生きているうちに」やりたいという想いを、少しでもお手伝いできたら。
そして、それを大切にしているのが、ものがたりデイサービスです。
もちろん限度はあるのでできる範囲にはなりますが、これからもその想いや、一人ひとりの『ものがたり』を、何気ない会話の中から見つけていきたいと思います。

K | ものがたりデイサービスセンター

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